知り合いのお子さんに食物アレルギーがあることを知ったとき、
”この子にもおいしいケーキを食べさせてあげたい”と思ったことがきっかけで
「乳と卵と小麦粉を使用しないデコレーション」への挑戦が始まりました。
いまや食物アレルギーを持つお子様は乳児の約1割。
ひとりでも多くの方に、誕生日や子供の日、クリスマスの日に、ケーキを楽しんでいただくことこそ、
シャトレーゼが取り組むべき問題として、開発チームが招集されました。
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実際に始めてみると、開発は困難と挫折の連続。
まず最初に突き当たったのが「スポンジ」でした。スポンジは気泡を抱き込んで、はじめてふっくらと仕上がります。しかし、卵が持つ「膨らむ力」が使えないと、ホットケーキのように平べったいスポンジになってしまいます。
そこで、材料や製法などを何度も試行錯誤。卵の代わりに大豆たんぱく質を、小麦粉の代わりに米粉を使ってやっとスポンジが膨らみはじめたのです。 -
膨らんだかと思うと、次に出てきた問題が食感。
本来スポンジは、食べた時に口の中でホイップクリームと一緒に溶けていく食感を「おいしい」と感じるもの。小麦粉の代わりに米粉を使って、本来のスポンジの食感をどうやって実現するのか。
その問題も、配合を変えては焼き、変えては焼くことを繰り返し、やっと口どけのよい、おいしいスポンジができあがりました。 -
牛乳は、洋菓子、特にケーキをつくる上では欠かせない素材。
それなくして、ケーキ本来のおいしさをつくることは、不可能と思われていました。「乳と卵と小麦を使わないスポンジができたんだ、今度もきっと作れる。」そんな思いから、新たなチャレンジが始まりました。まずは、乳に代わる、クリームに最適な素材探しから。いろいろな素材でクリームをつくっては試食、つくっては試食を繰り返し辿り着いたもの、それが豆乳でした。しかし、皆さんもご存じの通り、豆乳は青臭さが気になる人には、ちょっと苦手な食材。お子様となればなおさらです。やはり豆乳をそのままクリームに仕立てても、どうしてもその「豆の香り」が残ってしまいます。香りは味を決定付ける上でたいせつな要素。この豆特有の香りを消すために、青臭さの少ない豆乳の選定やフレーバーの調整など、何度も何度も試行錯誤を重ねました。そして、やっとおいしいクリームが完成したのです。
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「たくさんの御子様においしいケーキを食べてもらいたい」
ケーキの原材料から、乳や卵や小麦をなくせましたが、工場での生産となると、工場の空気中や製造ラインなどに残っている可能性も考慮しなければなりません。そこで、工場で働くスタッフ全員に協力を求め、通常の製造ラインを止めたり、粉が舞わないように空調を止めたり、機械の徹底洗浄を行ったりと、いままでの常識を捨て、全面的に、そして徹底的に工場の管理を見直しました。
そして、生産に携わるスタッフ全員の「たくさんの御子様においしいケーキを食べてもらいたい」という想いがひとつになり、ついに生産・販売にいたりました。